忙しない幕舎の中で、頬を掴みあいどちらが先ともつかず口付けしあった。触れたくて仕方がなかった馬超の頬骨を撫でると、焦らさずに舌を絡めてくれた。口腔を食む水音に思わず吐息が鼻を抜ける。
鎧を外す時間も惜しく、上は着たまま下衣だけ脱がされると、腰布の左右から手を入れられ尻をゆっくりと撫でられた。
「んッ…!」
「たまらないな…」
両手を肩にかけ僅かに抵抗する。馬超の手は止まらず表面をまさぐり、筋張った指が肉に食い込む。
「ッ、もうきっ…」
最早待ちきれず早く中に触れてほしくて尻を突き出すと、手の動きが止まった。
「あぁっ…ん!」
だが傍若な馬超の手は左右を交互に強く揉みしだいた。
「手に吸いついてくる」
「な…何を言、…やっ…」
感想のような甘言を耳に弄するので下腹が疼いて膝が崩れてしまう。それを見てか馬超は趙雲を後ろに向けると、卓に手をつかせた。姿勢を変えた事で下がった趙雲の腰布をたくし上げると、暫し無言でそこを見つめていた。
「…は、はやく…」
顔から火を吹きそうな思いで懇願した。すると軽く帯を解く音がして、安堵して下を向いて待った。ぬるとした先走りを塗られ、その感触に息を吐く。
「!ん…ぁぁあ!」
貫かれた衝撃で出たのは一見叫びのようだが歓喜の声である。
「ああ、っうぅ、ッ」
卓にしがみついてるのだが、鎧の重みで自然と頭が下がってその分尻が跳ね上がってしまう。その都度馬超が臀部を掴み直し、一番弱い所を突いてくる。
「…ッ!ぃいっ、ぁあ」
趙雲の言葉に応えるように馬超の指に力が入り、緩やかだった抽挿が激しくなる。
「ひッ!やっ、も…もうっ……!」
字を呼びたかったのだがたまらず先に果ててしまった。
「っは、は……子龍」
既に息も絶え絶えだが、頭を手で振り向かされ口を塞がれた。
「んん―ッ、んぅ、」
唾液が顎に滑り落ちる。そのまま頭に手をやりながら馬超は律動を再開すると、趙雲の中にたっぷりと射精した。
後ろから、抱えるように回された馬超の逞しい右腕を、慈しむように手を添えた。
(棘棘)
了