forest

青い鳥を探しに来て、脱線した。木に寄りかかって眠る姿があまりに綺麗で、それでいてあどけない寝顔だったので…キスした。勿論、相手は眠り姫ではなくしなやかな体躯の男で、自分はどこぞの王子でもない。なので、殴られる位の覚悟は出来ていた。
「んむっ?!」
口を寄せた途端、あろう事か首に男の腕が巻きついてきた。変質者を絞め殺そうとしている…のではなく、腕は男の方へ抱き寄せてくる。
「ンン、ンッ…!?」
予想を上回る深い口付けに妙な声が出てしまった馬超は、慌てて男の腕をひっぺがした。
「はあっ…、なんなんだお前は」
「寝込みを襲っておいて何を言う。ここは私の森だ」
「そうか。では青い鳥を知ってるな」
「それは、私だ」
「あ?」
「青い鳥」
男は透けるような青い衣服を纏っていて、それは大層似合ってはいた。だが。
「何を言ってるんだ…」



chateau

「でかい屋敷だ」
「私の家」
「いえ。こんな所に、鳥を閉じ込めて」
「閉じ込めてない」
「飛びたがってるじゃないか」
「鳥と話せるのか、あなたは」
「…そうかもしれない」



moon

「…そこをどくんだ」
「どかない」
「寝静まった振りをしてたのか」
「同じ事をしただけだ。俺を捕まえるつもりだな」
「離し…」
「離さない」
「なぜ、」
「お前は寂しいだけだ、お前は…っ」


「……泣かないで」
「…泣いてない…」



bird

趙雲の涼しい顔が歪む様に、その爪が自分の背を掻き毟る様に、いよいよ持って馬超の目は妖しくなる。
「っう…、く、…ッ」
「つらいか」
熱い。
「じゃあ、やめるか」
「……」
しなやかな両腕が馬超の脇をぎゅっと固定し、脚が腰に絡みつく。さすれば馬超は趙雲の背を抱いて、その切っ先を奥へとねじ込む。
「っ、…ッ、ぁアッ…!」
「気持ちいいのか?」
肉壁が全てを搾ろうとし、嬌声が律動を激しくする。触れ合わぬ所などない程に肌を密着させ、馬超はきつく趙雲を抱き締める。
「…イ…ッ、……いい…ッ…!」
「いいぞ、イけよ…ッ」
「あァッ…!!」
声は趙雲の脳天を貫ぬき、意識を飛ばし、腕と脚が力なく放り出された。空っぽになった趙雲を離さないまま馬超は、腕の中に愛しげに呟く。
「…一緒だ」



end