竜胆が弧を描いて地面に突き刺さる。馬超は仰向きに倒れる趙雲に馬乗りになると、鉄騎尖をその首に宛がった。敗北を認めた趙雲が身体の強張りを解く。趙雲が穂先と逆に顔を傾けると、首筋に結った髪の毛がかかった。馬超が穂先で結い目を刺すと、平素額や鼻先を埋めて愉しんでいる髪が扇状に広がった。
「綺麗だな」
一房手にとって愛でてやると趙雲が目を瞑る。それを皮切りに馬超は鉄騎尖の柄を手の平に乗せ、趙雲の髪を梳いた。趙雲の唇から小さな喘ぎが漏れる。瞼を開けた趙雲の、情欲の目配せを送る様に馬超の雄が頭をもたげた。
上体を起こした趙雲の髪は肩にかかる程の長さになっていた。毛先は馬超の物を咥える動作で揺れている。瞳は涙で塗れている。馬超は趙雲の頭を左手で抑え、右手で頬を伝う涙を拭ってやった。
「子龍…出すぞ」
朱色の口唇から一物を引き離し、馬超は鳶色を帯びた愛しい黒髪に白濁を飛ばした。
片膝をついて同じ目線になり、上気した趙雲の貌を愉しむ。手折った花に水をやるが如く、馬超は殊更優しく趙雲の頬を撫でた。
「髪、また伸ばせよ」
首を垂れた趙雲の頭髪から、馬超の注いだ精液が零れた。
(鋏と糊)
了